論説
豫防衞生行政の根幹
pp.63-64
発行日 1949年8月15日
Published Date 1949/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200503
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本誌第5卷第5號に編輯同人の1人は我國の小兒衞生のあり方を論じているが論者もこれにならつて豫防衞生行政を爼上に上げて見よう。
獨逸その他の歐州の文化國家に於ては屎尿を介して傳播される消化器系傳染病及び昆虫媒介性傳染病は文化の未だ進まなかつた過去に於ては猖獗を極めたものであるが,文化の進んだ今日に於ては最早制渇されて農村に散發を見るに過ぎなくなつたのでKisskaltはこれをKrankheit der Unkulturと呼んだのであつた。然るに呼吸器系傳染病は文化の進んだ今日に於ても尚跳梁をほしいまゝにしているのでDegkwitzはこれをZivilisationskrankheiten,又de RudderはZivilisationsseuchenと稱したのであつた。こゝに呼吸器系傳染病と云うのは百日咳や結核などのように主として呼吸器を冒かす狹義の呼吸器傳染病だけではなく,ハシカ,水痘,猖紅熱,天然痘などのような臨床家の所謂發疹性傳染病及び流行性髓膜炎のような神經系傳染病をも含んだ傳染病群,即ち主として氣道を侵入門戸とする疫學者の分類による廣義の呼吸器傳染病を指すのである。
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