厚生行政の展望
食品衞生行政は昭和24年度に如何に展開しようとするか?
尾崎 嘉篤
pp.94-95
発行日 1949年8月15日
Published Date 1949/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200508
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新憲法の施行に伴い一般行政權が警察より分離せられたものの一つとして,食品衞生行政がその本來の責任者である衞生當局にかえされてから既に3ケ年を閲している。この間その行政の從據すべき支柱である食品衞生法の制定をはじめとして,實施主體たる保健所の行政廳としての性格の附與,食品衞生監視員制度の創設,ラボラトリーの整備,實施費用の1/2國庫負擔等を行つて,この新らしい行政の形を多少整えることが出來たのであつた。しかしながらそれは,たとえて見れば一應軌道が敷設され列車が走るを得る樣になつたと云う程度に止つていて,更に規則正しく整然と,氣持よくスムースに列車を運轉するためには,更に技術的に行政的に多くの改良を行つて行かねばならないのである。この意味に於て,昭和24年度に於ては,監視員が食品製造所とか飮食店に於て,如何なる點を注意し,如何にしてその良否を判定し,如何にしてこれを指導取締するかと云う樣な監視技術の科學化體系化を先ず計りたいと思う。と云つてこの仕事が從來も決してなおざりにされていたと云うのではない。各府縣に於て,又監視員各自に於て,夫々努力され工夫されて來た所であるが,今回は厚生省が本腰でこれ等の智識を動員し,綜合し,體系化して行き,更に學者研究者の協力をも得て更に進展させて行こうと云うのである。これは各種の食品試驗檢査法の新展開改善乃至は體系化をも當然相伴わなくてはならないであろう。
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