研究と資料
腸チフス豫防接種の皮下法・皮内法の比較—殊にその接種後の凝集價の消長に就いて
近藤 勇
1
1岩手醫大細菌學教室
pp.344-349
発行日 1949年4月25日
Published Date 1949/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200454
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緒言
腸チフス豫防接種に際しての副作用,殊に終戰後試みられている強力ワクチン接種後の種々の強い副作用に關しては既に吾々の等しく經驗している所であり當學第一分院の木村,照井兩氏はワクチン接種後賦活化されて發現したと見做される結核性腦膜炎2例に就いて報告されている1)。
ワクチン接種に關しては第一に當該ワクチンに依る強き豫防效果の發現が望ましい事は今更言を俟たぬが然し豫防接種の普遍化と言う面から考えるならば不慮の災害防止は勿論,副作用の輕減と言うことも又重大な一要素と言はねばならぬ。殊に豫防接種の實施は多人數を一場に集め短時間内に行はれる關係上個々の健康状態及びそれに適應した種種量等々の判斷が粗雜に流れ勝ちなのも又避け得ぬ事情故,尚更にワクチン自身及びその接種法には副作用の無いものが選ばれねばならぬ。
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