原著 最近における寄生蟲の諸問題・1
學術研究會議傳染性疾患研究特別委員會寄生蟲科會報告
蛔蟲の排卵能と驅蟲藥の影響
足利 三明
1
,
生田 啓吉
1
1岡山醫科大學藥理學教室
pp.332-334
発行日 1949年4月25日
Published Date 1949/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200453
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驅蛔蟲藥の效果を驅除された蟲數だけで比較判定することは危險である。このことは吾教室で今迄に行つた諸種の藥物に就ての驅蟲實驗の經驗が示すところである。その主要な理由は長時日に亙つて排蟲を含む可能性のある被檢者の糞便を殘りなく且つ完全に調査することの非常に難しいことや,死蟲の腸内消化のあることもあるが,今一つ重要なことは保蟲程度の違ふ被檢者のSampling如何が問題になることである。次に示した例は保蟲程度の異る2つのGroupに同じ條件で同じ藥物の基準量を與えたものであるが,保蟲程度(卵數)の多い方は排蟲者率や排蟲數が多く,反之卵消失者率は少い。併し兩Group共卵數減少率は非常に近似した値を示している。
吾教室では以上の樣な經驗から蟲數計算と竝行して常に卵數計算法を行い,可及的判斷を誤らぬ努力をしている。然るに卵數計算法の信頼度は蛔蟲の排卵能如何,特に藥物により如何に影響されるやの問題と重要な關係があるのでこの點を追究しつゝある。今迄の成績は次のようである。
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