保健所のページ
疾病豫防手帖に就いて
靑木 茂
1
1宮城縣仙臺第二保健所
pp.217-218
発行日 1948年2月25日
Published Date 1948/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200261
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昨今BCGが研究の域を脱し結核豫防國策として實際に取り上げられるに至つた事は我國の結核對策上新規を盡したものでその期待大きなものが有る。
こゝで私の提案したい事は,疾病豫防手帖(名稱は他に適當なものが有るかも知れないが)の出現である。戰時中國民體力手帖の名の下に一時試が行はれたのであつたが何時とはなしに消滅して了つた。この手帖はBCG接種の對象が年少年者である場合,又年少年者でなくとも自分のツベルクリン反應の檢査を受けた正確な時期及びその反應結果,又BCG接種を受けた正確な時期をとかく忘れ勝ちで接種されてからの期間が長ければ長い程そうである。殊に低學年の小學生にその上膊を見て始めて嘗て接種を受けたことのあるのを辛じて知り得ても,唯聞いただけでは皮内注射を受けた事は覺えてゐるがBCGとツベルクリン反應とを混同して答へ正確な返答を求めることが不可能な場合に屡々遭遇する。中には注射を受けたことさえも忘れて了つてゐる者も多數有る。
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