原著
我が國に於ける結核年齢別死亡の最近の動向に就て
平山 雄
1
1公衆衞生院疫學部
pp.76-82
発行日 1948年12月25日
Published Date 1948/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200380
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Ⅰ.緒言
戰時中所謂結核國難として結核の逐年増加が警告され,特に靑少年層の結核對策に樣々の努力が傾注された事は未だ記憶に新たなものがある。その效果が如何様な形で表われて來るかと云う事は當局は勿論一般醫家の關心事であつたが,終戰後いざ蓋を開けて見ると,結核死亡率はまさしく靑少年層のみに激減し,乳幼兒及び壮年層以上は不變乃至は増加していたのである。いちはやく渡邊1)はこの事實を報じこの靑少年層死亡減少はBCGを主軸とする一連の結核對策に依るものなし,次で柳澤2)も同樣の見解を述べている。靑少年層死亡の減少は誠に慶賀すべきであるが,そに減少が何に由來するかと云う事,特にBCGの效果が如何なる程度に影響を及ぼしているかと云う點に就いては,將來の對策の磁針にもなる事であるから,極めて愼重に檢討さるべき事と考える。私は此の樣な年齢別死亡率の年次推移を考察する場合には,柳澤も強調している事であるが,Frost3)に倣つて同年代生れ別に追及して見る必要があると考えたのでその立場からも檢討を試み,更に年齢別總死亡數の年齢推移との關係とか結核の病類別年齢別關係等の立場からも考察を加えて見た。未だ決定的な結論に到達しないが今囘は現在迄に得た成績は若干の考察を加え論述して見る。
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