外科進歩の跡・2
我が國に於ける胆道外科進歩の跡
赤岩 八郞
1
1前:九州大学
pp.265
発行日 1951年6月20日
Published Date 1951/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200830
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我國に於ける胆医外科は既に明治初期以来胃癌手術と同樣に福岡大学の大森治豊先生以来諸外國に比して遜色なく発達し,多数の材料に就いて手術致され大森先生に次いで,明治三十七年頃より三宅速先生が非常なる努力を以つて研究をつずけられた本邦に於ける胆石症とも明治の末期及大正年間に外科学会に二回の宿題報告あり.其後技術方面に於にて特別進展なかりしも,診断的方面に於いて肝臟機能檢査法と相俟つて特にレ線の胆道撮影法に劃期的の進歩を来し,殆んど完壁に近き進歩の跡を示すに到り.申候胆汁の化学的分析胆石の組成及原因等に於いて年々外科学会に於いて有意なる報告あり。之を九大三宅外科教室に於いて,三宅教授及教室員の研究相次いで発表を見,今日に到れり。胆道の外科は他の内臟外科に比し歐米及本邦共に昔より著く発達しており,最近梢々記す事も進歩を見ざる樣存ぜられる.最も小生も退官以来諸外國の文獻等人手の便なく余程時代と遅きと相候成りおり候間.若れ此方面の特学の士執筆を乞えば必ずや斯界を稗益するならんと期待申し居候.
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