原著
ソバの驅蟲效果について(第1報)—各種駆蟲剤との比較
八田 貞義
1
,
乘木 秀夫
1
,
宮本 晴夫
1
,
高橋 信將
2
1厚生省東京衞生試驗所細菌部
2日本醫科大學衞生學教室
pp.72-76
発行日 1948年12月25日
Published Date 1948/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200379
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まえがき
寄生蟲の全國的なひろがりと驅蟲剤の不足とは,戰後日本の大きな社會問題であつて,これが豫防對策とその有效なる駆除藥の發見は,目下の急務であることは申すまでもない。しかし,この國の現状よりして,豫防對策としての糞便の完杢なる腐熟,生野菜食(漬物をも含む)の廢止等の充分なる徹底は目下のところ望めそうにもないので,寄生蟲の驅除法が一番重要な課題となって來よう。
驅蟲剤としては效果のあることは勿論であるが,更に廉價である事,副作用のない事,原料の豊富に得られる事等も缺くことのできないものであつて,現今,多くの驅蟲剤が製品化され,またそれらの效果についても,色々と比較檢討されているが1)-6),以上の如き條件を満足させるに足るものは未だ見當らないようである。かゝる現況にあるとき,今囘私達の實驗に供した當試驗所調査部の松尾,市川,小幡技官等の新たに調製せるソバの煎剤竝びにそのエキスは,比較的有望な成績を示し,囘蟲驅除の上に大いなる期待がもたれたのでその大要を報告する。
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