原著
ヂフテリアの家庭内二次感染例比率—總症例に對する家庭内二次感染例の研究
平山 雄
1
1公衆衞生院疫學部
pp.69-71
発行日 1948年12月25日
Published Date 1948/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200378
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Ⅰ.緒言
ジフテリアの感染源として重要なのは,患者ではなく保菌者である事は,既に幾多の報告から明らかであり,我國に於ても野邊地はつとにこの點を強調している。かつて,Friedemann1)はDoull & Lara2)の計出した患者對ジ保菌者危險度比率1/10を彼自身の見解に基いて1/11と訂正し,それを用いて1926年舊伯林市に發生したジ者の97.6%は保菌者から感染し,僅かに2.4%が患者から感染を受けたものであるべきことを推論した。一方Moldovan3)は家庭内感染がジフテリアの主要感染機序であろうとの推定の下にジフテリアに於ける家庭内二次感染例の總症例に對する割合8を報告から集計して見たところ,諾威を除く7地方の平均は僅かに2.9%に過ぎないのを認め,その少いのに驚いて居る。野邊地4))のべて居る様に,Moldovanの得た家庭内二次感染例の總症例に對する割合が上述のFriedemannが患者から直接感染を受けるものの割合として計出した2.4%と云う數字と近似して居る點は,きわめて興味深いものがある。私は,我國の實際例について,この通りであるか否かを檢討することは意義ありと考え,昭和22年東京都に於けるジフテリア患者届出カードから,この點に關し推計を行つて見た。
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