研究と資料
囘蟲藥效力比較試驗
鈴木 武夫
1
,
宮川 文雄
1
,
森久 保茂
1
,
原田 文雄
1
1神奈川縣中央衞生試験所
pp.142-146
発行日 1948年1月25日
Published Date 1948/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200247
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第1項緒論
元來日本人は寄生蟲の保有率は高く,特に囘蟲の保有率は世界無比である。即ち昭和元年より同13年に至る神奈川縣に於ける糞便調査を見るに,調査人員6.486名中寄生蟲保有者48.730名50.50%である。而して此の保有率は都市と農村とは異つて居たのであるが,終戰後國民の食生活の困窮と共に自給自足の生活により生人糞を使用して野菜栽培が行はれる樣になった爲に此の區別は無くなつた様である。即ち昭和4年乃至同13年迄の横濱市に於ける調査人員12.890名中3.459名(保有率25.28%)であつたが,昭和22年3月横濱市八幡町住民1.810名調査せるに1.358名,75.03%の寄生蟲保有率を認めたのである。
日本の現在人口7500萬としてその中,80%として約6000萬人が,囘蟲を保有し,健康をむしばまれてゐると推定することが出來る。而して此等囘蟲の寄生によつてどれだけの榮養が無駄になつてゐるかと云ふことは的確なる資科がないので數字に擧げることは出來ないが,二化めい蟲による稻の被害は1ヶ年100萬石に及ぶ年があると農業專門家が推定してゐるが,囘蟲によるロスは恐らくこれにおとらぬものがあると想像される。
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