綜説
Common Coldの病因と豫防
福見 秀雄
1
1豫防衞生研究所
pp.251-257
発行日 1948年9月25日
Published Date 1948/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200340
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アメリカのClevelandのDingle1)が"Common Virus Infectionsof the Respiratory Tract"といふ題目でものした綜説は,上氣道性の疾患,特に普通に風邪といはれるものと甚だ類似した群の症候群について,現時のアメリカ醫學がどのやうな態度を持してゐるかについて,明瞭な解説を與へてゐる。その中心をなすものは風邪,Common Coldである。けれども,上氣道の炎衝性の病氣の病原學的な鑑別分類はさほど簡單なものではない。
上氣道の炎衝性の疾患について診斷を下す場合には,結核症,ヂフテリヤ,β-溶血性連鎖状球菌疾患,インフルエンザ,鸚鵡病等の病源の明瞭な疾患ではないといふことをまづ確かめてこれを除外した後,殘つた上氣道性炎衝症候群について"臨牀スペクトル(Clinical spectrum)"(第1圖)にしたがつて,それを適當のスペクトルの位置にあてはめねばならない。そしてそれらのスペクトルを構成してゐる疾患について明確な概念を得るために"Commission on Acute Respiratory Diseases急性呼吸器疾患委員會)"の活躍の樣子を傅へてゐる。
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