特輯
アメリカ合衆國に於ける結核の豫防事業,施設の現況竝に最近の結核治療方法に就て—1月21日 醫師會館に於ける講演要旨
A. P. Kinght
pp.347-354
発行日 1947年3月25日
Published Date 1947/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200114
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
現在アメリカに於ける結核豫防事業は極めて進歩してゐる。之は偏へにアメリカの一般民衆が結核に充分に注意を向けるやうになつたお蔭である。此のやうになつたのは結核豫防會の活動,個々の醫師,各種の醫事團體,普通團體,非專門家に依つて組織されたるもの,新聞,公共診療所,看護婦,公私結核病院の努力の賜である。
アメリカ人は一般に,結核になると入院して治療を受ける。之はアメリカ人は病院治療が(1)患者にとつて有效であること(2)患者發生家族への保護となること(3)彼等の住む社會に對する市民としての責任であること,を自覺してゐるためである。現在のアメリカに於ける結核豫防は本世紀の初期に芽生へて發達をつゞけて來たものである。結核豫防事業は抑々普通團體に興味をもたれて芽生えたのである。此の事業の或る面は醫師及各種の組織化された醫學協會によつて反對を受けた。現在日本に於てうけてゐるやうな醫師の反對とか迷信もあつた。それにも拘らす結核豫防事業は進歩し今日多くの人々の生命を救つてゐる。このやうな状態は日本でも多々見受けられる。日本國民はアメリカの結核豫防事業が歩んで來なければななかつた荊の道から學ぶことがあるであらう。併しながち日本國民は之もらの道をあまりにも速く歩んだために多くの重要なことも見落してゐると云へる。御承知のやうに總司令部公衆衛生福祉部では日本の結核豫防計畫を樹立した。それは5項目よりなつてゐる。
Copyright © 1947, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.