原著
人工授精に於ける感染とその豫防
村山 茂
1
1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
pp.307-310
発行日 1951年8月10日
Published Date 1951/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200518
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緒言
生殖現象が人間の本能である以上,如何に人口過剰の時代にあつても不妊症患者の訴えは絶える事がない。而かも不妊症患者の苦惱は單に醫學的因子のみならず,社會的因子も加わる爲極めて痛切なるものがある。更に加うるに之等患者を診察する時,何等器質的疾患を發見し得ないことが屡々あるので,その治療對策に困却を極めることは日常醫家の歎を等しくする所である。之が對策として慶應大學病院産婦人科に於ては昭和23年以來人工授精を不妊症治療の1方法として實施しており,これに依る妊娠例は既に30例を越え,不妊症患者に大なる光明を與えつゝある。然し乍ら,時として感染發症を見るのは人工授精の大なる缺點であり,今後人口授精の廣く行われる趨勢に鑑み,最大の缺點たる感染豫防を検討する事は極めて重要な事と考える。
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