論説
公衆衞生の民主々義化
野邊地 慶三
pp.38-39
発行日 1946年10月25日
Published Date 1946/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200043
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ポツダム宣言受諾の結果からも,又解放された新時代の純理的必然性からも,私達は各自の關係分野に於て各其の民主々義化に努める責務を負つて居るのである。然らば公衆衞生の民主々義化とは何であらうか。私は此の命題と取つ組んで久しく自問自答を續けて居つたが,夫れは衞生教育至上主義であることを一日豁然として悟得した。そこで私は之を聯合軍司令部公衆衞生福社部長サムス大佐に諮つたところ全幅の贊意を得たのであつた。
抑々衞生教育至上主義は米國公衆衞生の先驅者Herman Biggsが創唱して以來今日に至る迄米國公衆衞生の傳統となつて來て居るところであつて,今日同國の公衆衞生が世界に冠絶するのは此の主義に負ふところ最も大である。夫故に私は故Biggsの言を引用して紙上に又講演に度々衞生教育至上主義を提唱して來たのであつたが,之が私の求めて居つた靑い鳥であることに遂に氣が付いた次第である。
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