論説
開業醫と公衆衞生
野邊地 慶三
pp.125-126
発行日 1946年11月25日
Published Date 1946/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200057
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創刊號所論の如く一國の保健衞生の進運は一に衞生教育保健指導の實踐如何に左右されるものである。米國の公衆衞生が今日世界に冠絶するのは決して物質文明の結果ではなく,實に衞生教育至上主義政策の傳統の賜である。歐米諸國に於て衞生教育專門の物的人的施設である保健所及保健婦の普及に夙に力が致されて來て居るのは此の爲めである。
開業醫は2, 6時中公衆との接觸が極めて繁く,患家或は公衆,部落或は公共團體責任者から豫防醫學的指示を乞はれ,又自ら進んで豫防醫學的指導を興へるに恰當な機會に連續して見舞はれるものである。從つて諸公衆衞生機關の職員殊に保健所職員,保健婦の衞生教育に向つての努力と相俟つて,全國の津々浦々の開業醫の豫防醫學の素養豐かで公衆衞生に關心を有ち,彼等を訪れる頻繁な公衆指導の機會を活用して衞生教育に力を致して呉れると否とでは,一國の公衆衞生の進運が至大な影響を受けるものである。
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