綜説
公衆衞生學概説
野邊地 慶三
1
1公衆衞生院豫防醫學部
pp.1-5
発行日 1946年10月25日
Published Date 1946/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200039
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(1)公衆衞生學發達の沿革
ギリシヤのHippocrates,ローマのGalenusに依つて礎石をおかれた衞生學も暗黑時代の襲來によつて打挫かれたのであつたが,文藝復興と共に再び萠え出でRamazziniはde Morbis artificum diatriba(職業病,1700)を著し,Peter Frank(1754-1821)は12卷から成るSystem einervollstandigen medizinischen Polizeiの雄編を著述し,Parent DuchateletはAnnales d'Hygiene publique(公衆衞生學雜誌,1829)を創刊し,LevysはTraite d'Hygiene publique et privée(個人衞生及公衆衞生論,1844)を書くなど,衞生學は公衆衞生の性格を有つて發達する傾向を辿つたのであつた。
次いでPettenkoferはMünchen大學に衞生學講座を創設し(1853,1860,1865等記録不定)實驗に基礎を置いた近代科學の體系を具へた衞生學を確立したのであるが,此の衞生學は生活環境諸條件の恕限度の研究を主調とするものであつて,Levysの所謂個人衞生の範疇に屬する狹義の衞生學であつた。
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