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はじめに
日本は超少子・長寿高齢社会が進行し,総人口も減少している.人口構造,死因構造ならびに人口分布も変化してきている.65歳以上の高齢者人口は,2012年に3000万人を超え,高齢化率は24.1%となり,2025年には3657万人(30.3%),その内,後期高齢者人口(75歳以上人口)は2179万人(18.1%)と推計されており,前期高齢者人口(65〜74歳)を上回るとされている1).
また,厚生労働省「平成25年簡易生命表」によると,男の平均寿命は80.21年と初めて80年を超え,女のそれは86.61年となり,長寿高齢社会が急速な勢いで進行していることが見て取れる.そして,近年,急速なグローバル化によって社会構造が変わり,健康問題も複雑化・多様化してきている.
このような社会において,わが国の死因構造も大きく変わってきている.1960年以降現在に至る過去50年間の主要死因は,脳血管疾患,悪性新生物および心疾患である.脳血管疾患は,1960年代をピークに1980年まで第1位の死因であった.2012年の人口動態統計の死因簡単分類をみると,脳血管疾患は悪性新生物,心疾患,肺炎に続いて第4位の死因となっており,その死亡率は減少傾向にある.
1970年以降,明らかに脳血管疾患の死亡率は低下傾向を示しているが,いまだ脳血管疾患が大きな問題となっているのは,発症後の後遺症による要介護の割合が高く,健康日本21(第2次)の目標である健康寿命の延伸と都道府県格差の縮小を実現するための最大阻害要因になっているからである.
そこで,本稿では,1960年以降2012年までの当該年の人口動態統計,10月1日現在推計人口および国勢調査結果を用い,脳血管疾患の死亡数・死亡率の年次推移をはじめ,都道府県別年齢調整脳血管疾患の推移,そして,脳血管疾患の発症率,介護の状況についても触れながら,わが国の脳血管疾患の死亡数・死亡率の動向と現状について述べる.
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