映画の時間
―どんな時も希望は消えない─.植民地,香港.貧しい水上の民が手にした幸福とは.―浮城
桜山 豊夫
pp.507
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103059
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わが国でも水上生活者が多く生活していた時代もありました.香港でも,かつて「蛋民(たんみん)」と呼ばれる,独自の文化をもった大勢の水上生活者が暮らしていました.
若い蛋民の女性が嵐の中,船上で子どもを流産し,蛋眠の多くがお参りする媽祖のお寺で養子を貰うシーンから映画が始まります.女性は子どもがイギリス人と中国人の「ハーフ」であることを知って,一瞬躊躇しますが,一度抱いた子を離せなくなります.短いシーンですが,その後の親子の愛着を感じさせる重要なシーンで,母親となる若い女性を演ずるジョシー・ホーが観客に深い印象を残します.
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