--------------------
あとがき
成田 友代
pp.440
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103045
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
「DSM」(米国精神医学会による精神障害の分類と診断)第5版への改訂により,今までの広汎性発達障害がASD(自閉症スペクトラム症)となり,診断基準も大きく変更されました.発達障害に関する診断分類はなかなか複雑で,改訂の度に頭を悩ませている読者も少なくないのではないかと思います.冒頭,市川宏伸先生から,診断分類について体系的にご解説いただき,理解が深まりましたが,その一方で,発達障害の診断をクリアカットにすることは困難であり,診断を受けていなくても,支援が必要と判断される人に支援を開始するという先生のお話が印象に残りました.我々関係者にとって大切なのは,発達障害の特性を理解し,本人や家族,周囲の気づきを適切な支援につなげていくことであることを改めて認識いたしました.
しかし,現実にはそうではない側面が課題となっているようです.平岩幹男先生から,「専門機関の悲劇(詳細は本文参照)」として,保健担当者にありがちな「早期発見に一生懸命,疑えば専門機関を紹介すればよい」という流れについてご指摘があり,まさに目から鱗が落ちる思いがいたしました.保健担当部署においては,様々な気づきを常にその先にある支援につなげていくことが重要であり,紹介をして支援が途切れてしまうことは目指すところではないはずです.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.