特集 NCD(非感染性疾患)対策
わが国の非感染性疾患(生活習慣病)対策の歩みと今後の展望
岡村 智教
1
1慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学
pp.312-316
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103006
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はじめに
昭和20年代後半以降,結核による死亡が大きく減少し,わが国の死因として当時,成人病と言われたがん(悪性新生物),脳血管疾患,心疾患などの占める割合が大きくなった.特に脳卒中は1965年をピークとして,1981年にがんに抜かれるまで死亡原因のトップを占めていた.また胃がんは,男性では1993年に肺がんに,女性では2003年に大腸がんに死亡率1位の座を譲るまで戦後長くがん死亡の1位を占めた.以上のような背景から,わが国の成人病対策はまずがんと循環器疾患というこの2つの疾患を検診(健診)で克服しようという動きから始まった.その後,成人病が発症要因に焦点を当てた「生活習慣病」という名称に変更されてからもこの健診重視の考え方は残り,その後,紆余曲折を経て一次予防や生活習慣の改善にも重点を置く今日の対策にたどり着いた.なお国際的に使われている非感染性疾患(non-communicable disease;NCD)と生活習慣病は必ずしも同義ではないが,ここでは生活習慣病対策の歩みとして記述する.
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