特集 地域医療の現状と将来展望
わが国の地域医療政策の歩みと将来展望
信友 浩一
1
1福岡市医師会成人病センター
pp.267-270
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102385
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地域医療の現実を誰が見ていた(See)のか
医療政策の底流を近代化以降から概観したい.
明治政府は生産年齢層の国民が病死することを恐れ,伝染病を最優先して地域医療の整備を行ってきた.富国強兵が国策であり,当然のごとく生産年齢層の国民・兵隊の数と,健康とを必要としたのである.従来の住民に寄り添う医療を担っていた医師たちから医師免許を取り上げて,明治政府が導入したドイツ医学を学んだ者のみに医師免許が与えられ,国策に寄与させた.その意味で,わが国の地域医療は,国家経営上の視点から整備されていただけで,地域独自の視点で地域医療が整備されることはなかった.この流れは,第二次世界大戦敗戦まで続くことになる.
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