特集 自殺・自死対策
自殺未遂者などのケアの重要性と地域における支援のあり方
桑原 寛
1
1神奈川県精神保健福祉センター
pp.252-255
発行日 2014年4月15日
Published Date 2014/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102988
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はじめに
自殺未遂者が再び自殺を図る危険性は,非未遂者に比べ著しく高い.また,自殺未遂の頻度は自殺既遂の10~20倍と推定されている1,2).そのため,未遂者支援は自殺対策上極めて重要であり,2006年の自殺対策基本法,2007年の自殺総合対策大綱でも重点課題として位置づけられた.
その後,今日までの間に,未遂者の実態把握に向けて救急医療機関を対象にした調査などが数多くなされてきた.そして,厚生労働科学研究費補助金を活用して,地域の精神保健福祉相談担当者向けに「自殺に傾いた人を支えるために―相談担当者のための指針(以下,指針)」や,救急医療従事者向けに「自殺未遂患者への対応:救急外来(ER)・救急科・救命救急センターのスタッフのための手引き」,精神科救急医療従事者向けに「精神科救急医療ガイドライン(自殺未遂者対応)」が作成され,これらのテキストを用いた研修会も開催されてきた.また,地域での未遂者支援活動を含む包括的な取り組みにかかる「地域における自殺対策プログラム」なども作成されており,これらの資料は,厚生労働省の自殺予防対策ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jisatsu/)から入手できる.
そこで,本稿では,これまでの未遂者支援にかかる取り組みの成果をふまえつつ,今後の地域のプライマリケア従事者による未遂者支援のあり方を整理する.
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