連載 講座/健康で持続的な働き甲斐のある労働へ―新しい仕組みをつくろう・23
―企業の労働CSR強化の方向性と労使関係の今後の在り方―真に社会的パートナーになりうるには?
吾郷 眞一
1
1立命館大学法学部
pp.121-124
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102952
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はじめに
職業に就く過程および働き続ける過程での労働基本権が保障されること,いったん職業に就いた後の職場において労働条件が適切なレベルで維持されること,そして労働終了後の手当てが十分になされていることが,労働する者にとって健康で安全な生活を営むための条件である.
いろいろな法,特に社会法(労働法・社会保障法)と言われるものが,旧来それを担保する仕組みとされていた.それは産業構造において組織労働者が中心的な役割を果たし,労働組合権が守られて自由な労使協議の下に労働条件が決定される前提で機能する仕組みであった.現在でも社会法の基本的役割は変わらないものの,経済のグローバル化による産業構造の変化に伴い非正規労働が増え,法律でカバーできる領域に限界が出てくると,他の方法による労働条件の確保も必要になる.この状況の中で注目され始めたのが企業の社会的責任(corporate social responsibility;CSR)という法の枠を超えた手段による目的の達成である.
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