特集 院内感染対策
―アウトブレイク事例から学ぶ―バンコマイシン耐性腸球菌の院内感染事例
佐藤 厚夫
1,2
1労働者健康福祉機構横浜労災病院小児科
2前・藤沢市民病院こども診療センター小児救急科
pp.902-905
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102881
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はじめに
日本の厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(Japan Nosocomial Infections Surveillance;JANIS)の公開情報(2012年年報)1)によれば,日本におけるバンンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant Enterococcus;VRE)の分離率は0.02%(腸球菌感染症における割合は0.2%)で,10.8%の医療機関からしか報告されていない.いい換えればVREは,院内感染対策上「完全制御しなくてはならない」耐性菌といえる2,3).
藤沢市民病院(神奈川県藤沢市)では,2010~2011年にかけて,わが国における過去の報告4,5)を大幅に上回る症例数(106名)のVRE院内感染アウトブレイクを経験した.本稿では,個人・チーム・病院のすべての面で未曽有の院内感染事例に直面した時,その対策においてわれわれが何に成功し,何に失敗したかを振り返りたい.なお,詳細については病院ホームページ上の報告書6)を参照していただきたい.
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