特集 院内感染対策
―アウトブレイク事例から学ぶ―妊婦を初発とする結核の院内感染事例
伊礼 壬紀夫
1
1沖縄県中部保健所
pp.906-909
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102882
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はじめに
結核は徐々に減少しているが,2011年には22,681件の新規発生届けがあり,2,166人の死亡が報告されている.医療従事者にとっては結核患者に接する機会が減ることで,その診断,治療,院内感染対策の面で不慣れな対応が課題の1つともなってきている.
医療機関からの結核発生届出を受理後,保健所では感染性の確認,感染期間の推定,感染機会の調査,感染場所の調査,接触者の特定などの疫学調査を行い,その結果に基づき接触者健康診断(以下,接触者健診)の計画と実施を行うことになる.その際には,診断した医療機関内の構造(空間の大きさや換気状態)や,感染性結核患者,医療スタッフ,来院者の動線などを確認し,感染が起こったと推定される時と場所を特定していく.そして,接触者健診を実施するうえで必要な調整を行いながら,保健所と医療機関とが連携して対応していくことで,接触者への効果的な対応と接触者健診の効率的な実施が可能となる.
本稿では,最近経験した妊婦の結核のケースを通して,結核発生時の対応における医療機関と保健所の連携を中心に述べる.
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