特集 衛生行政を担う人材―獣医師・薬剤師
扉
pp.701
発行日 2013年9月15日
Published Date 2013/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102826
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人々の健康の脅威は,20世紀の半ば頃までは水,空気,食べ物の汚染・不衛生でありました.その後,社会的インフラの整備が進み先進国では不衛生との戦いという意味の公衆衛生は終わったかのように思われてきました.しかし,環境汚染,食品安全,医薬品の安全,薬物乱用,人獣共通感染症の流行など人々の健康を脅かす新たな問題が登場してきています.これに対応できる新たな組織体制や人材づくりが必要となってきています.
イギリスではすでに「Health Protection」が設けられ,広域的な検査体制や専門組織の充実が図られています.わが国も食品,感染症,化学物質などにかかわる検査,規制,監視にかかわる組織と人材育成の必要があります.また,グローバル社会となり,農産物,工業製品,感染症に対するには国際的な枠組みの下で,専門性の高い専門職を配置して対応することが必要となってきています.わが国の対物衛生の領域は,多くの獣医師や薬剤師によって担われていますが,体系的な人材育成の教育システムが確立されるまでには至っていません.国民の健康と安全を確保するためには,幅の広い専門領域から能力の高い専門職を確保することも必要となってきています.
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