特集 公衆衛生の危機
子どもの支援と公衆衛生への期待
荘保 共子
1
1カトリック大阪大司教区こどもの里
pp.16-25
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102632
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子どもの居場所としての「こどもの里」
1.あそび場,逃げ場で,生活の場
「こどもの里」には,0~18歳の児童だけでなく,「こどもの里」を卒業した大人たちもその子どもたちもやって来る.そこには,赤ちゃんの世話をする小・中・高生がいる.オムツを変える子,泣きじゃくる赤ちゃんを抱っこしてあやす子,笑わせている子,ごはんを食べさせている子,障がいのある子の顔を拭いてあげている子がいる.「こどもの里」で子育てを経験している.みんなのために包丁を持ち,野菜を切って料理する幼児,小・中・高生がいる.みんなで一緒にご飯を食べる.けんかしながら,汗かきながら,他の学校の友だちと遊ぶ子どもたち,幼児が遊ぶ側で,気を遣いながらボール遊びをする子がいる.小学生の勉強をみている中・高生.手話で話し合っている子がいる.社会を学ぶ学習会に真剣に取り組む子どもたちもいる.おにぎりを握り,野宿する人たちを訪問して「体,大丈夫ですか?」と声をかけ,「ありがとうね」と返ってくる言葉に自信を息吹かしている子どもたちがいる.貧困の中,学校や家庭や社会がしんどくなって,傷ついた心を休めている子,寂しくって泣きに来る子.誰かに聴いてもらいたくて,誰かに喋りたくて来る子がいる.
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