特集 公衆衛生の危機
わが国の感染症対策と公衆衛生の課題
中瀨 克己
1
1岡山市保健所
pp.30-35
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102634
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そもそも,「公衆衛生の危機」という特集が,予測される事象ではなくその対応体制について組まれること,そしてその項目に感染症が含まれることは,公衆衛生に従事する者として,また,先進国とされる日本の国民としても,大変残念と言わざるを得ない.感染症対策は,防災と並び国民の安全を衛る国の責任の最優先の分野ではないだろうか.この危機感の背景には,2011年の東日本大震災,福島原発事故および以降の国の災害対応で,国民の感じる不安が大きかったことがあるように思える.防災における危機対応の体制が,今回の事例を通じて改善されつつあると感じられない国民は多いのではないだろうか.
その一方で,全国保健所長会は現場統括者として,健康危機管理体制の研究や技術研修,マニュアルの作成を行い,保健師,栄養士等も,職能別に健康危機管理体制における個別分野での努力を行い,その実績は積み重なっている.にもかかわらず,公衆衛生分野内からも本特集内に感染症対策が必要とされる不安があるのは,なぜだろう.日々の努力と目指すべき目標とにミスマッチがあるのだろうか.それとも,マスメディアの情報等による間違った認識なのだろうか.
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