特集 スクリーニング―その進化と課題
NCD対策におけるスクリーニングの限界と展望
大島 明
1
1大阪府立成人病センターがん相談支援センター
pp.849-852
発行日 2012年11月15日
Published Date 2012/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102575
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NCD対策
NCD[Non-Communicable Diseases=非感染性疾患:がん,心血管疾患,糖尿病,慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)の4疾患を指す]は,先進国だけでなく途上国においても重大な健康の脅威となっており,NCDの予防とコントロールは,グローバルなレベルにおいて最重要課題の一つである.2011年9月19,20日には,WHO(世界保健機関)の提案を受け,国連においてNCDハイレベル会合が開催された.また,2012年5月に開催された第65回世界保健総会では,NCDによる死亡を2025年までに25%減少させる目標を採択した.このような状況を受けて,2012年7月10日に厚生労働大臣が告示した「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」(「二十一世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21〈第二次〉)」の「第一 国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向」には,「2.生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(NCD〈非感染性疾患〉の予防)」の項が設定され,NCDという用語が用いられている.
NCDは,これまで,成人病や生活習慣病と言われてきたものに相当するが,単に言葉の言い換えをするだけで,NCDの予防とコントロールを実現することはできない.日本におけるNCDによる死亡数は,人口動態統計2010年確定数によると,総死亡数:1,197,012人のうち,がん:353,499人,心疾患:189,360人,脳血管疾患:123,461人,糖尿病:14,422人,慢性閉塞性肺疾患:16,293人となっており,NCDによる死亡数(697,035人)は,総死亡の6割弱を占めている.
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