今月の臨床 婦人科がん検診
【卵巣がん検診】
2.卵巣がんスクリーニングの限界
小林 浩
1
1奈良県立医科大学産婦人科
pp.1212-1215
発行日 2009年9月10日
Published Date 2009/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102182
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がん検診の歴史と意義
現在,一生涯のうちに日本人の2人に1人ががんに罹り,3人に1人ががんで死亡している.10年後には,3人に2人ががんに罹り,2人に1人ががんで死亡するといわれている.1年間に新たにがんに罹患した者の数は,53万人(男性30.5万人,女性22.5万人)と推計されており,がんによる死亡者数は,平成17年で32万5,941人,全死因の30.1%を占めている.男性が19万6,603人(対全死因比33.6%),女性が12万9,338人(対全死因比25.9%)であった.一方,がん医療費は,平成16年の国民医療費で2兆3306億円(国民医療費全体の9.6%)となっている.
癌撲滅の歴史を見ると,昭和56年脳卒中を抜き,がんが死因の第1位となったため,昭和57年老人保健法が成立し,昭和58年老人保健事業第1次5か年計画として,がん検診(胃癌,子宮頸癌)が導入された.昭和59~平成5年「対がん10か年総合戦略」に基づいて,がんの本態解明を中心とする研究や事業を展開した.平成6~15年がんの予防と効果的な治療に向かって「がん克服新10か年総合戦略」が開始された.平成16~25年「第3次対がん10か年総合戦略」が実施されており,がんの罹患率と死亡率の激減が戦略目標に掲げられている.
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