Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
免疫現象は生体が非自己因子より防禦され,健康な状態を常に保つ上に必要欠くべからざる現象である。この免疫現象は現在体液性免疫と細胞性免疫に分けて考えられている。前者は生体内にある血清を主とした体液中の非特異的および特異的因子による反応であり,後者はリンパ球・単核細胞が主として作用する反応である。近年前者における研究発表は著しく,特異抗体は化学的にγ-グロブリンにあること,さらにこれらはいくつかの免疫グロブリンよりなることなどが証明され,臨床例での応用も簡便となつている。一方後者における研究は主役細胞の検討が不十分であつたり,その収集が困難であること,また試験管内にみる簡便な検査法が開発されていないなどの理由から臨床応用にはまだ至つていない。この細胞性免疫機構の破綻は,患者治療の上で種々の難治性感染症(ことに結核および深在性真菌症)の発生を招きやすく,また疾患本態解明の大きな手がかりともなりうることから今後の研究が期待される。
さて著者らはこの細胞免疫能を遅延型アレルギー反応から推測しうるとの考えで,従来主として臨床例に基づく成績を検討報告してきた1,2,3)。すなわち感染アレルギー・接触アレルギーおよび同種移植拒否反応の3種の遅延型アレルギー反応を,ツベルクリン反応(以下ツ反応と略),DNCB反応および皮膚移植拒否反応にて観察したのである。これらの検査は試験管内の検査と異なり,患者自身の皮膚をとおして観察するのであつてみれば如実に免疫性を測りうるものと考える。これら3種のうちツ反応は最も簡便であり,今日日常診療の上でも細胞免疫能検索に利用されているが,近年自然陽転者が減少するためか信憑性にとぼしくなつてきており,また細胞性因子以外の関与するとの意見も聞く。同種皮膚移植については反応自体の検討も不十分であるうえ,手技観察がやつかいで実用化にほど遠く,DNCB反応検査の標準化が急がれるわけである。著者は数年にわたり本反応の実用化を目指し検討してきたが,正常人群臨床例群間に有意の差を認めほぼ標準化し得たのではないかと思われるので述べてみたい。
Standardization of this problem for the cellular immunity was performed.
Method:
1) The patch test adhesive plaster containing 0.025ml of 1% DNCB in aceton was applied for sensitization on the flexor surface of the left upper arm for 48 hours.
2) Fourteen days after the sensitization process the challenge was performed by applying 2 patches with 0.025ml of 0.1 and 0.001% of DNCB in ethanol respectively on the flexor aspect of the right upper arm for 48 hours.
3) The allergic dermatitis of DNCB were classified and graded into 3 groups-those with dec-reased, indeterminate, and normal activities. With this method 140 cases of normal and diseased persons were tested. Marked and moderately decreased activities in patients of lymphoma and SLE were proved respectively.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.