特集 独居高齢者と健康
大都市に暮らす独居男性高齢者の生活課題と自立支援
河野 あゆみ
1
,
田高 悦子
2
1大阪市立大学大学院看護学研究科
2横浜市立大学医学部看護学科
pp.702-705
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102524
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独居男性高齢者の特徴
平成22(2010)年に実施された国民生活基礎調査1)では,65歳以上の者のいる世帯のうち,独居世帯の割合は24.3%を占める.平成元(1989)年における65歳以上の者のいる世帯の独居世帯割合は14.7%であったことから,約20年間に独居高齢者が急速に増えていることがわかる.つまり,わが国の高齢化に関する保健医療福祉の問題を考える上で,独居高齢者のQOL(quality of life)をいかに維持し,向上させるかは重要なテーマの一つである.
わが国では,女性の平均寿命は長いこと,夫より妻の年齢が若いことが一般的であることから,独居高齢者の大部分は依然,女性である.しかし一方で,独居高齢者に占める男性高齢者の構成割合は,平成元年は19%であったのが,平成22年は28%に増加してきていることを見逃してはならない.なぜならば,男性高齢者は一人暮らしになったときには,死亡のリスクが高まること2),健康状態が悪くなりやすいこと3),サポート・ネットワークが小さくなること4)などが報告されており,独居女性高齢者に比べると,健康や生活に関する問題を持っているハイリスク集団であるからである.加えて,地域ケアを提供するときに,独居男性高齢者に保健医療福祉職がアプローチすることが難しく5,6),支援の手がなかなか届きにくい人々であるとも考える.
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