特集 独居高齢者と健康
独居高齢者の現状および生活実態と課題
河合 克義
1
1明治学院大学社会学部社会福祉学科
pp.676-680
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102518
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はじめに
今,独居高齢者世帯の社会的孤立問題が注目を集めている.2010年のNHKによる「無縁社会」問題キャンペーンは大きな反響を呼び,「無縁社会」という言葉がこの年の流行語大賞となった.2012年になって,餓死・孤立死が連続して発生し,今,孤立問題が大きな社会問題となっているが,こうした餓死・孤立死は,なにも最近の現象ではなく,ここ20年以上,発生し続けていることを認識する必要がある.そして,孤立の背後には,独居高齢者の生活上の諸問題があることも見えてきている.
さて,こうした孤立と生活の不安定化は,独居高齢者だけの問題ではなく,高齢者との同居世帯,さらには若い世代に拡大してきていることにも注意を向けなければならない.しかし,本誌の特集が独居高齢者の問題であるので,以下では,独居高齢者問題の数的傾向を概観した上で,筆者が関わった調査のデータによって,独居高齢者の生活実態と社会的孤立の現実を紹介したい.そうした実態を踏まえて,独居高齢者が健康で豊かな生活を送ることができるための方策の方向性について考えたい.
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