連載 災害を支える公衆衛生ネットワーク~東日本大震災からの復旧,復興に学ぶ・2
被災地の復旧,復興に不可欠な公衆衛生機能とは
佐々木 亮平
1
,
岩室 紳也
2
1日本赤十字秋田看護大学看護学部看護学科
2公益社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター
pp.397-401
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102422
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人的被害の意味と重み
陸前高田市では保健師9人中6人が津波の犠牲となり,残った3人も入院,ストレス,被災時2年目の若手と,保健師を中心とした公衆衛生機能が完全に失われた.さらに陸前高田市を管轄する大船渡保健所では,職員の犠牲者はいなかったが,行財政改革(地域振興局の広域化1年目)で所長は釜石保健所と兼務のまま,保健師(大船渡保健所配属は3人)も自宅が全壊・流出と被災する中で,管内約70,000名の人口規模(大船渡市,陸前高田市,住田町)をカバーしていた状況だった.この状況を補うため,都市(行政機能)丸ごと支援を掲げた名古屋市からのコントロールタワー的役割を担う存在の保健師派遣を含め,全国から保健師等の公衆衛生専門職の応援派遣(表1)があったことは,本当に助かった.
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