連載 災害を支える公衆衛生ネットワーク~東日本大震災からの復旧,復興に学ぶ・11
復興を推進する「未来図」へ
佐々木 亮平
1
,
岩室 紳也
2
1日本赤十字秋田看護大学看護学部看護学科
2公益社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター
pp.148-153
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102666
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復旧から復興への転換期
1.課題が積み上がり,ますます募る焦り
発災から1年9か月が経った平成24(2012)年12月に本稿を書いている.陸前高田市(以下,現地もしくは被災地)では,津波被害にあった建物で解体が行われていなかった市庁舎や高田高校の工事も始まり,被災地の復興もいよいよ加速すると見ている人が多いかも知れないが,われわれの中にはむしろ焦りが募っている.
震災直後は避難所生活での健康の確保に始まり,その後,仮設住宅での新生活の開始から商業施設等の復旧に合わせるように,様々な保健事業を復旧させつつ,住民一人ひとりの健康づくりを心掛けてきた.2012年になってからは県内外からの支援者が少しずつ引き上げるのに代わって,新たに採用されたスタッフや名古屋市からの1年間の新たな支援者を得て,言葉に語弊があるかも知れないが,何とか被災地および非被災地での仕事を廻してきた.ただ,「先が見えるようになる活動を」,「現地ではしたくてもできない活動を」…と常に現地に寄り添って進んできたつもりだが,思い通りに事が進まない状況が繰り返されている.
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