特集 地域医療の現状と将来展望
公立病院の歴史と現状,課題
伊関 友伸
1
1城西大学経営学部マネジメント総合学科
pp.298-301
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102392
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危機に瀕する公立病院
全国で,公立病院の経営危機,地域医療の崩壊が起きている.その大きな要因となっているのが医師不足である.これまでわが国は,昭和40~50年代の医学部増設ブームの反動などで,医師数を抑制する政策を取ってきた.その結果,人口千人当たりの医師数で比較すると,OECD諸国の平均で3.1人であるが,日本は2.1人になっている(OECDヘルスデータ,2009).その一方,医療の高度・専門化や高齢者の絶対数の増加などの要因により,病院に勤務する医師の仕事自体は増えている.その結果,日本の医師の勤務状況は,非常に過酷なものになっている.
このような中,2004年に新しい臨床研修制度が導入された.制度の導入を契機に,中堅・若手を含めた医師の勤務先が流動的になり,医師が集まる病院と集まらない病院に「二極化」する動きが起きた.その結果,地方の労働環境の悪い公立病院で,医師が退職する動きが起きた.
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