特集 地域医療の現状と将来展望
地方都市の地域医療の現場―現状と将来展望
濱口 實
1
1茅野市・原村・諏訪市組合立 諏訪中央病院
pp.283-286
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102389
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はじめに
地域医療とは,以前はへき地あるいは地方の中山間部の比較的医療過疎の地域で行われる医療を指していた.当時長野県の医療は,その厳しい環境,生活習慣の中で,脳卒中,高血圧に苦しむ住民が多く,今の長寿とはかけ離れた,思いもよらぬ状況であった.
こういった状況の中で,約40年前から今井澄・鎌田實(元院長)らによる「地域医療研究会」の立ち上げがあり,国民健康保険(国保)の県独自の地域医療学会も,保健師,保健補導員の地道な活動で,全国学会に先立って始められた.一室暖房,減塩運動は,こうした保健師,保健補導員の地道な努力により進められていった.
現在,地域医療が大都市の中でも注目されるようになってきたのは,近い将来,大都市を中心に高齢化の大きな波が押し寄せてくるからと思われる.急性期に特化している大病院では対応ができなくなり,厚労省などが提唱する地域包括医療・ケアの充実が重要となってくる.
地域医療とは,この地域包括ケアのシステムの中に取り込まれ,地域の要望,需要の中から生まれてくる医療と定義することとなる.
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