予防と臨床のはざまで
第9回日本ヘルスプロモーション学会に参加して
福田 洋
1
1順天堂大学医学部総合診療科
pp.170
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102353
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昨年12月9~10日,宮崎で開催されました第9回日本ヘルスプロモーション学会に参加しました.学会長は,鶴田来美先生(宮崎大学医学部看護学科教授)で,メインテーマは「絆―痛みの共有と復興」.未曾有の大災害となった東日本大震災,また一昨年の宮崎県での口蹄疫の流行の経験を踏まえて,災害による様々な痛みについて理解を深め,人と人とのつながりや地域住民の支え合いの大切さ,健康で幸せな社会を構築する仕組みについて考える,という狙いで,活発な報告や議論が行われました.
島内憲夫先生(順天堂大学スポーツ健康科学部教授)の特別講演では,震災後の現在,すべての国民が「生きること」の意味を痛切に考えさせられる状況になっており,人々が健康で幸せな人生を歩んでいくためには,ソーシャル・キャピタルやソーシャル・ネットワークとして説明されるような「社会的なつながり」がますます重要になっていること,とりわけ健康・医療ニーズに応えるヘルスボランティア活動が「共に生きる社会」「愛が溢れた社会」に極めて重要な意義を持つことが述べられました.一般口演でも震災関連の演題が多く見られ,私自身もボランティア医療従事者による被災者向けメール医療相談「Rescue311」の活動について概要報告を行いました.
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