映画の時間
―目を凝らして見れば,この世界はきっと違って見える.―ポエトリー アグネスの詩
桜山 豊夫
pp.169
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102352
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主人公ミジャは,お洒落が好きなおばあさん.言うことを聞かない中学生の孫息子と2人暮らしで,ヘルパーをしながら生計を立てていますが,生活はけっして楽ではありません.孫の母親である娘は,家を離れて出稼ぎに出ているようです.最近は年のせいもあってか,物の名前が思い出せないことが多くなり,近所の医師から紹介されて専門医を受診し,「アルツハイマー型認知症」と診断されます.そんなとき,孫と同じ学校の女子生徒が自殺し,救急車で病院に運び込まれる場面に出会います.孫に聞くとその女の子のことは知らないと言いますが,孫は仲間たちとその女の子に暴行を加えていた疑惑が浮かび上がります.
本格的な高齢社会に突入したわが国にとって,高齢者の増大に伴い患者数が増えている認知症への対策は,重要な課題となっています.認知症をテーマにした映画では,1973年の「恍惚の人」(有吉佐和子原作・豊田四郎監督)が有名です.高齢化がまだ進展しない時代に,認知症について社会に認・知・させたエポックメイキングな映画で,森繁久彌,高峰秀子の名演が記憶に残ります.
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