特別寄稿 複合災害の被災地における保健師活動・2
保健師ボランティア・チームとして原発特区の支援に入るまで―平時に備えのないことは非常時には対応できない
荘田 智彦
pp.792-795
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102237
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本稿・1の入稿から,また一月,大震災からすでに4か月が経っている(注:本稿執筆時).私たちが原発特区とも言える福島県南相馬市,また相双保健所圏域の保健師たちの窮状を知って,急遽呼びかけ合ってつくった「全国保健師ボランティアチーム(PHN/V/T)」として総勢8人(行政保健師5,公衆衛生医1,ジャーナリスト2)で県外からの派遣としては初めて「東京電力福島原子力発電所から20~30km圏」の保健師支援に入ったのは,5月16~22日だった.ある意味,全員が悲壮な覚悟と勇気を持って参加した第1次訪問から2か月,やっと保健師ボランティアチームとして7月16~19日,2回目の現地訪問と支援活動を果たして帰ってきたばかりである.
私たちのチーム結成と活動は,反省も多いが,いくつかの点で果敢,かつ画期的な取り組みだったと思う.それは日常業務(ルーティン)感覚でしか思考できなくなっている,行政現場への失望と挑戦の連続だった.これからの継続支援をどうして行ったらいいか,大きな問題はそのまま居座って,無為な時間の経過がますます被災地の心を蝕み闇を広げているように思う(以下本文中敬称略).
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