病院経営戦前戦後・4
非常時の対策(1)
山元 昌之
pp.72
発行日 1970年4月1日
Published Date 1970/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203935
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昨年も暮に近いころ,東海地方を中心に,100年に1回という大地震が起こる可能性がある,という地震学者の説が新聞に出た.その後2,3の病院で,大地震が起こるだろうといわれているが,この病院の非常時対策はよろしいか,と聞いてみた.みな,できておりますという答えで,一様に泰然としている.鉄筋建の病院だから大丈夫だという考えらしい.しかしちょっと堀り下げて聞いてみるとはなはだ心もとない.
100年に1回というくらいだから,関東大震災のときか,あるいはそれ以上の強震と思わねばならん.必ず停電する.自家発電はありますか.いやない.エレベータは止まりますよ.配膳1つを考えても,エレベータが使えないときに,高層階へどうして食餌を運びますか.うう.夜間なら地震と停電で,病棟は混乱する.それに,まず火が出ると思わねばならんが,火が出れば階段は煙突になりますよ.エレベータが動かない,階段は使えない,患者避難をどうしますか.少なくとも担送患者やインキュベータの避難方法は再検討しなくてもよろしいか.そうですな.まず図上訓練でもさっそく始めるのがよろしいでしょう.そうですな.地域全体が被害を受けるような大災害の場合には,救護班の派遣要請があるものと思わねばならないが,救護班の編成計画や救急箱の用意はできておりますか.いや,それはやってない.
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