特別記事
[対談]住民主体のソーシャルキャピタル形成活動とプロセス支援体制
待鳥 美光
1
,
福島 富士子
2
,
みつい ひろみ
1NPO法人こども・みらい・わこう
2国立保健医療科学院公衆衛生看護部
pp.393-398
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102110
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保護者の防犯活動から始めた地域づくり
待鳥 私は2001年に「和光市地域子ども防犯ネット」という,主に小中学生の保護者の防犯ネットワークを立ち上げました.埼玉県和光市は人口約7万8,000人,非常に転出入が激しく,単身世帯が一般世帯の約4割を占め,自治会,地域の組織,地縁組織率が非常に低い町です.もともとは長閑な環境だったのですが,地下鉄が開通し交通の便が良くなり,いろいろな人が和光市に出入りしてくる中で,駅周辺の環境が急変しました.当時,行政に防犯担当のセクションがなく,PTAが11校のうち5校にしかないという状況の中,保護者がぞれぞれに防犯活動をしていたのです.しかし2001年に大阪教育大附属池田小学校の事件が起きて,一気に危機感が高まり,それで全和光市の小・中学校を網羅する防犯ネットワークになっていくという経過を辿りました.
和光市地域子ども防犯ネット(以下,防犯ネット)は,完全に住民主体のネットワークです.立ち上げ当初は,「新しくできた団体にどうして協力しなくてはいけないのか」という反応も一部あったのですが,誰しも子どもの安全は守ろうと思っているので,少しずつ協力をしていただけるようになり,現在では自治会,民生児童委員,保護司,地域の関係機関等のネットワークを網羅しています.活動は,年に2回,市内全域で,延べ1,000人ぐらいの人が子どもを守るという目的を共有して行う市内全域一斉パトロール,親の意識を変えるワークショップや学習会等,いろいろなことをやっています.目的は「ふところの深い地域づくり」.地域の中で子どもが安全に育っていくことを目指しています.
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