特別寄稿
韓国の敬老堂におけるソーシャルキャピタルと健康
斎藤 嘉孝
1
,
近藤 克則
2
,
平井 寛
3
,
秦 基南
4
1西武文理大学サービス経営学部
2日本福祉大学社会福祉学部
3日本福祉大学21世紀COEプログラム
4延世大学健康科学部
pp.850-853
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101169
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まちづくり型,あるいはポピュレーション・ストラテジー(population strategy)に基づく介護予防の重要性が指摘されている.しかし,その具体的なプログラムとなると,いまだ手探りの状態である.そのモデルになり得る取り組みが,お隣の国,韓国にある.それが「敬老堂(Kyungrodang)」である.
地域在住高齢者向けの保健福祉制度である敬老堂は,全国約51,000か所に存在する施設と,そこで行われるサービスの総称である注1).韓国全土で160戸につき1つの敬老堂の設置が法的に義務化されているほどの徹底した普及ぶりで(2003年住宅法),韓国高齢者の4~5割が利用している.韓国の高齢者人口が約438万人と言われるため(2005年韓国統計局報告による),単純計算で高齢者の約86人に1か所の敬老堂が存在することになる.利用者の利用頻度も高く,ほぼ毎日,朝から行き,昼食をはさんで夕方まで居るのが基本である.後述するように,介護予防につながる各種の活動が行われている.
本稿ではこうした韓国敬老堂を紹介しつつ,筆者らが2006年に収集した量的データに依拠し,「利用者は非利用者よりもソーシャルキャピタル(social capital)1,2)が豊かで,健康と言えるのか」を,社会疫学的に検証する.
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