特集 超高齢社会に備える
超高齢社会とユニバーサルデザイン
永田 久雄
1
1財団法人 労働科学研究所
pp.305-309
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102081
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
製品,社会・生活環境,サービスづくりにおいて,計画段階からできる限り多くの人々を包含することを目指すことを謳った,米国生まれの「ユニバーサルデザイン(以後,UDと略す)」がこの10年で日本社会に急速な勢いで広がってきた.その先導役となったのは作り手側の建築家,デザイナーたちである.
私はUDに関して10年以上前から関わってきたが注),当初から日本でのUDの広がりの陰に,シルバー産業育成を優先とした表面的で個別的な取り組みがなされていると危惧してきた.その結果として,生活者のための製品,社会・生活環境,サービスづくりであるはずのコンセプトが十分に理解されずに,このカタカナ言葉が特別な力を秘めているかのように理解されたり,完成されたデザイン様式やテクニックのように考えられたり,あるいは一部には,障害者差別撤廃,男女平等に関する運動と理解されたり,デザインの権威づけに利用されたりしている.
本稿では,生活者から見た超高齢社会におけるUDとその本質について考えたい.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.