特集 母子保健をめぐる今日的課題
母乳育児と離乳食支援
堤 ちはる
1
1日本子ども家庭総合研究所母子保健研究部
pp.840-845
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101920
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はじめに
乳幼児期の食生活は,健全な発育・発達に影響するのみならず,将来の肥満,2型糖尿病,高血圧や循環器疾患などと関連があることが近年報告されている1,2).また,この時期には味覚や食嗜好の基礎も培われ,それらはその後の食習慣にも影響を与える.そこで,乳幼児期の食生活や栄養については,生涯にわたる健康の維持・増進という長期的な視点に立脚した栄養管理と食育が必要であり,子どもたちには適切な食事を好ましい環境のもとで提供することが極めて重要である.
従来,離乳指導に多く用いられてきた『改定 離乳の基本』3)(旧厚生省,平成7年)に代わり,厚生労働省から平成19年に授乳支援も含んだ『授乳・離乳の支援ガイド』4)が公表された.『授乳・離乳の支援ガイド』4)では,子どもの成長や発達状況,日々の様子を見ながら進めることと,生活リズムを身に付け,食べる楽しさを体験していくことができるよう,“一人ひとりの子どもの食べる力”を育む支援の推進がそのねらいとされている.
本稿では,『授乳・離乳の支援ガイド』4)の内容に触れながら,最近の親子の食の状況を踏まえた母乳育児と離乳食支援について述べていく.
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