特集 分子遺伝疫学
循環器疾患の分子遺伝学
岩井 直温
1
1国立循環器病研究センター研究所ゲノム医学部
pp.744-748
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101893
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虚血性心疾患の危険因子として,高齢・家族歴・高血圧・糖尿病あるいはメタボリック症候群・脂質異常症・喫煙が挙げられている.家族歴の寄与度は高く,遺伝的影響が大きいことを示しているとされる.ただ,危険因子である,高血圧・糖尿病あるいはメタボリック症候群・脂質異常症も,遺伝的素因と環境要因に支配されており,喫煙習慣に関しても,遺伝的な素因が関与することが最近報告されている.つまり虚血性心疾患に寄与する多くの危険因子があり(同定されてないものも含めて),これら危険因子の形成には,遺伝的な要因がなにがしか関与するという複雑な様相を示している.
高血圧も同様で,危険因子として,高齢・家族歴・肥満あるいはメタボリック症候群・(過剰な)飲酒習慣・食塩摂取過多などが挙げられる.肥満にしても,飲酒習慣にしても,遺伝的素因と環境要因に支配されており,食塩嗜好にも遺伝的素因が関与する可能性はある.つまり,高血圧に寄与する多くの危険因子があり,これら危険因子の形成に,遺伝的素因と環境要因が関与するということであり,この連鎖はさらに続く可能性がある.
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