連載 地域保健従事者のための精神保健の基礎知識・2
地域精神保健の発展を振り返る
竹島 正
1
1国立精神・神経センター精神保健研究所
pp.157-161
発行日 2010年2月15日
Published Date 2010/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101740
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はじめに
前回は精神保健の定義について述べた.そこで今回は,地域精神保健活動の歴史から,精神保健の実践を捉えてみたい.
地域精神保健活動の動向は,精神保健福祉制度等の発展と密接なつながりがある.第二次世界大戦後の精神保健福祉制度は,私宅監置を廃止した精神衛生法制定(1950),保健所を地域における精神衛生行政の第一線として,在宅精神障害者の医療確保のために通院医療費公費負担制度の導入を行った精神衛生法改正(1965),入院患者の人権擁護,社会復帰の促進,そして国民の精神的健康の保持増進を三本柱とした精神保健法改正(1987),障害者基本法(1993)の成立に基づく精神保健福祉法改正(1995),さらに,心神喪失者等医療観察法(2003)の成立,「精神保健医療福祉の改革ビジョン」(2004)と障害者自立支援法の成立と精神保健法改正(2005),というプロセスにまとめることができる.また,精神保健福祉制度そのものではないが,地域保健法(1994),医療法の改正(1985,1992,2000,2007),国民健康づくり運動(健康日本21,2000),自殺対策基本法(2006)なども,地域精神保健活動の発展に深く関与している.
本稿では,地域精神保健活動の発展に特に大きく影響した,1965年の精神衛生法改正前から地域精神保健活動の行われていた,宮城県と高知県の取組,法改正にまたがる群馬県の生活臨床の取組,法改正後に発展した大阪府と川崎市の取組を例にとって,地域精神保健活動の発展に重要な要素を抽出する.
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