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はじめに
日本の更年期世代女性(当会では40~64歳とする)は,人口ピラミッド最大群の約2,140万人1)を数え,また労働力率においても20代と肩を並べるなど2),いわば日本の社会・経済の中核を担っていると言えよう.このような存在の更年期世代女性が「生涯を通して健康でQOLの高い人生を歩むこと」が,女性自身のみならず,高齢型社会にとっても重要課題となっている.また,女性にとって生理的大変化の時期である更年期の健康管理・増進は,高齢期の健康寿命にも影響することが専門家からも指摘されており,更年期からの健康づくりはますます求められている.
しかしながら,当会が実施している更年期電話相談等の調査から見た更年期女性の医療状況は,①更年期についての適切な情報や理解が社会的に未だ周知されていない,②各地方自治体における更年期の健康施策は周産期と高齢者対策のはざまで手薄状態である,③更年期医療についての情報不足から,更年期女性に複数科受診が多く見られる,などの問題点が把握されている.
NPO法人女性の健康とメノポーズを考える会は,1996年に発会以来,女性の視点から更年期世代女性の医療と健康についての啓発とサポート活動を続けている.更年期世代の女性が,「家庭・地域・職場などで,元気に自らの持てる力を発揮しながら,高齢社会の中で生涯に亘りQOL(生活の質)の高い前向きな生き方をしていくこと」を目標に,8部門の活動〈電話相談〉〈フォーラム〉〈語り合いの会〉の開催,〈健康調査〉〈女性検診受診率向上運動〉〈メノポーズ健康エクササイズ普及〉〈女性健康教室等での講演〉等を,ニュートラルな立場から提案型で行っている.
当会の電話相談(無料)は,毎週火・木曜日に実施し,更年期に関するご相談が全都道府県から寄せられており,1998年の開設時から作成した電話相談カード総数は3万件近くに及ぶ.ご相談には,当会の研修と実習を経た,認定・更年期相談対話士が当たり,「ご相談者のお話を共感して聴き,一緒に考え,不調を改善していただくきっかけとなること」を心掛けている.
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