発言席
子どものためのエイズ電話相談を実施して
北村 邦夫
1
1社団法人日本家族計画協会市谷クリニック
pp.1049
発行日 1992年12月10日
Published Date 1992/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207885
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長年にわたって,思春期の子どものための性の悩み相談に応じてきた日本家族計画協会では,5月の児童福祉週間に合わせて「子どものためのエイズテレフォン相談」を実施した。6日間,36時間に受けたエイズの相談は301件。それによれば,「キスで」「ドアのノブで」「電車の吊革で」「風呂場で」「くしゃみや,咳で」「蚊に剌されて」などで感染しないかというような,エイズの基礎的知識の不足は依然として多いし,中には,「エイズのウイルスは精液の中にたくさん含まれていると聞いたが,中学時代によく夢精があって,パンツにしみついたまま朝を迎えることがあったが心配ないだろうか」などの訴えもあった。もちろんセックス体験のない高校生である。
このように,エイズに関する断片的な知識に振り回されて不安を増大させている例など,性教育の立ち後れを嘆かずにはおれない。思春期の性の悩みと同じようにエイズについても,情報が氾濫している一方で,彼らの心を満たす適切な情報が提供されていないがために,「悩まされている」姿が浮き彫りにされた。
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