資料
糖尿病有病率と社会経済的地位(SES)との関係
筒井 秀代
1
,
田中 剛
2
,
近藤 克則
3
1名古屋大学総合保健体育科学センター
2国立精神・神経センター運営局政策医療企画課
3日本福祉大学社会福祉学部保健福祉学科
pp.546-550
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101602
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全世界の糖尿病患者数は2.4億人を超えており,2型糖尿病患者は急激に増加している1).日本においても,平成18年の糖尿病患者数は約820万人,予備群を含めると約1,870万人に達し2),糖尿病患者数は増加の一途を辿っている.2008年4月からの医療計画においては,がん,脳卒中,急性心筋梗塞と並んで,地域における医療体制を構築すべき4疾患の1つとして位置付けられた.
これらの糖尿病患者の増加が,経済的発展や摂取カロリーの増大,モータリゼーションによる歩行量減少等に伴って現れたことと,数千人規模の健診データに基づく空腹時血糖平均値の年次推移と景気動向指数の推移のカーブが同じ傾向を示したこと3)などから,糖尿病は「贅沢病」などと呼ばれている.しかし,先進国における研究に目を向けると,職業階層・所得・学歴等で見た社会経済的地位(Socioeconomic Status:以下,SESと記す)がむしろ低い人々に,2型糖尿病有病率が高いとの報告が多い4~12).
そこで本稿では「2型糖尿病有病率とSES」との関連についての知見を紹介し,そこから現在の糖尿病対策の妥当性について考えてみたい.
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